「プチプラ」や「安カワ」は冬の定番。ところが今月は、もっと景気にダイレクトな見出しが踊っている。ズバリ「節約!」と、リアルな雰囲気だ。株価暴落・世界的金融危機といった経済問題が騒がれる一方で、今年は何しろ、生活に密着した食品などがやたら値上がりしたので、女性誌読者にも、現実的な財布の守り方を知りたい気分が芽生えている。
近頃は、お金そのもののあるなしに関わらず、モノをお得に買えるコツを知っているか否かのほうが、重要になってきている。今や何でも、店頭で定価で買うのはほとんど損、というほど。
楽天市場のキャッチフレーズ、「ショッピング・イズ・エンターテインメント」が、言いえて妙だと最近つくづく思う。お得な買い物をしたい、というのが初めの動機だったとしても、色々見ていくうちに、結果的にはたくさん買ってしまったりする。しかしやめられない。ネットオークションなどはよりその意味合いが強く、いかに安く上げるか…というゲーム感覚。
ところで、長い入店待ちの列が話題になったプチプラSPA、H&Mで、ようやく店に入れたと思ったら、異様なテンションになって、無駄遣いしてしまった人はかなりいるはず。しかし、「あのH&Mに行って、○時間待ちした!」というのが、付加価値的エンターテインメントになっている。
さらに、「1ヶ月間返品自由」という点もエンターテインメント。返品しに来たら、多くの人はまた新しいものを買う。人間の「返報性」という心理をうまく活用していると思う。「返報性」というのは、「恩は返したい、借りは作りたくない」という、人間の基本的心理。これは、営業のエキスパートや新興宗教や詐欺師が使ったりする作戦ということでも有名。物質だけではなく、そういう心理的な仕掛けというのは、こんなご時世を勝ち抜くための武器と言える。
するっと入れて、さくっとお買い物できてしまったのでは、買った「モノ」しか残らない。ともかく、財布のヒモが相当固くなっているこのご時世でも、エンターテインメントとしての買い物は支持されている。むしろ、「同じお金が出ていくのなら、楽しんで使いたい!」という気分なのではないだろうか。
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