『内向きエロ』

エロ全開・アゲアゲムード…という、「夏＝発情期」のような流れが落ち着いてきた。ランニング・自転車に加え、今年はゆる登山・野外フェスといった、エロさのないイベントも人気。しかし、「夏だからどこ（海とか花火とか）行こう！！」というノリは比較的薄い模様。不況の影響もあってか、むやみやたらと盛り上がる感じではない。

とはいえ、「愛されボディ系」の特集はなぜか妙に元気なのである。エロを匂わせつつ、そこはあえてエロとかセクシーではなく、触られて愛されて…という切り口で、むしろ「実用エロ」とでもいった雰囲気。この手の特集には、もれなく平子理沙が登場していたのだが、今年求められるボディが、決してヘルシー系セクシーでも、グラビア系セクシーでもなく、なんとなく「愛され」という名のもとに、「女子が女子を愛でるセクシー」というところに落ち着いているように感じられた。それが、海だなんだと夏らしく盛り上がらない要因の一つなのかも知れない。

ぜい肉・ムダ毛・ニオイ・化粧くずれのお悩み四天王対策は夏マーケットの定番だが、今年は特に若者ターゲットの雑誌で、「仕込みはさておき、とりあえず健康的に楽しもうよ」という前向きなムードが感じられた。その健康感の裏にあるのは、「おうちボディ」「インドアボディ」とでもいった、新たな志向。毎年恒例の見出しのように、「海で見せるためにあと１か月で−３キロ！」と外に向かうのではなく、内に向かうような感じ。走るとか登山というのも、自分の内面と向き合う運動行為だ。

登山・神社参詣などのマイナー趣味さえも、ヘルシーやスピリチュアルという切り口でメジャー化するこの夏。 「夏＝海」「夏＝エロ」という規定の発想は、忘れた方が賢明だ。